法テラスと利用する価値、法テラスの審査基準と立替払いの費用

ナツメ@破産百科です。

 

以前、法テラスの利用はデメリットがあるという記事を書きました。
⇒ 法テラスに相談はデメリットだらけなのか?!

 

通常であれば分割払い可能な弁護士がいるため法テラスの存在意義は薄いのですが、
無職・無収入の場合は法テラスを利用する価値があります。

 

ここでは法テラスの利用法と法テラスの審査基準、
立替払いしてくれる費用について解説します。

 

法テラスの利用のコツ

無職・無収入で弁護士費用の支払いの目処が立たない、
分割でも支払いが苦しい、という場合には法テラスは利用価値があります。

 

利用のコツ

法テラスは審査が厳しく時間がかかるので、
まずは自分で弁護士を選んでダメ元で分割払いのお願いをしてみることです。

 

分割払い可能であれば、そのまま契約します。
断られた場合は法テラスを利用したいと申し出て下さい。
(弁護士から法テラスの利用を提案されることもあります。)

 

あくまで法テラスを最終手段として考えるのがオススメです。
法テラスは審査があるため時間がかかります。

 

審査が済むまでは契約できません。
そのため受任通知をすぐに送れません。
受任通知を送れないと督促が止まらない、という悲惨な状態になっていしまいます。

 

このデメリットがあるので、あくまで法テラスは最後の手段です。

 

※受任通知が出されるまでの暫定的対処法
⇒ 取り立ての電話や手紙への対処

 

 

持ち込み事案

法テラスを利用したいと申し出ると
弁護士は法テラスに対する「持ち込み事案」として
相談した弁護士自身がそのまま受任します。

 

これは日弁連が制定した
債務整理事件の処理の規律を定める規定
で決まっています。

 

ただ必ずしも現場の運用で法テラスに持ち込まれるとは限りませんが、
無職・無収入でも諦めずに相談することをオススメします。

 

こちらから無料で借金問題の解決件数1万7千件の弁護士事務所に相談できます。
⇒ 弁護士法人・天音総合法律事務所

 

 

援助申し込みと審査の準備

法テラスへの援助申し込み

専用の申込み書に必要事項を記入して申し込みます。
と言っても申込み書は弁護士が用意するので、
相談者は名前と住所を書いてハンコを押すだけです。
契約内容についても弁護士がその場で説明します。

 

法律相談援助

法テラスの代理援助を申し込む時は
法律相談援助という無料法律相談も自動的に行うことになります。

 

法律相談援助には同一内容の相談は3回までという決まりがあります。
しかし、ほとんどの弁護士が初回相談を法テラスに関係なく無料で行っているので、
相談援助はあまり気にしなくても構いません。

 

審査申し込みの準備

審査は対面審査が基本となります。
申込み者と受任弁護士が同席する必要があります。

 

しかし、私の確認した限りでは書類審査が主流となっています。
特に東京と埼玉では法テラスの審査が混んでいるらしく、
時間のかからない書類審査が主流のようです。

 

私の審査のときも書類のみの審査でした。

 

審査には以下の書類が必要です。

  • 援助申込み書(記名押印)
  • 債務一覧表(誰にいくら借りてるのかを一覧表にする)
  • 収入証明書類(非課税証明書、納税証明書、給与明細、生活保護受給証明書など)
  • 住民票(本籍地記載と世帯全て必要)

このうち債務一覧表は弁護士が用意します。
相談者は収入証明書と住民票を弁護士に渡します。

 

 

代理援助の審査基準

審査基準は以下の通りになっています。

  1. 資力基準の該当者
  2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  3. 民事法律扶助の趣旨に適すること

この3つの基準を満たすと援助開始の決定が下されます。

 

 

資力基準の該当者

資力基準とは収入資産になります。
収入と資産の両方の基準に該当すると審査に通過できます。

 

収入

手取り月収額が基準を満たす必要があります。
下記の月収基準はボーナスを含んでいます。
ボーナスを含んだ年収を12ヶ月で割ると1ヶ月分の月収相当額が分かります。
生計を共にしている家族の収入は合算します。(自分と配偶者などを合算する)

 

※法テラスの収入基準表

人数 手取月収額の基準 注1 家賃又は住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額 注2
1人

18万2,000円以下
(20万200円以下)

4万1,000円以下
(5万3,000円以下)

2人

25万1,000円以下
(27万6,100円以下)

5万3,000円以下
(6万8,000円以下)

3人

27万2,000円以下
(29万9,200円以下)

6万6,000円以下
(8万5,000円以下)

4人

29万9,000円以下
(32万8,900円以下)

7万1,000円以下
(9万2,000円以下)

注1:東京、大阪など生活保護一級地の場合、()内の基準を適用します。以下、同居家族が1名増加する毎に基準額に30,000円(33,000円)を加算します。
注2:申込者等が、家賃又は住宅ローンを負担している場合、基準表の額を限度に、負担額を基準に加算できます。居住地が東京都特別区の場合、()内の基準を適用します。


引用元:法テラス
URL:https://www.houterasu.or.jp/madoguchi_info/faq/faq_3.html

 

資産

資産は現金や貯金だけでなく、不動産や株や国債などの有価証券を合算します。
ただし、不動産のうち自宅と係争中の物件は除きます。
※法テラスの資産基準表

人数 現金・預貯金合計額の基準 注1
1人 180万円以下
2人 250万円以下
3人 270万円以下
4人 300万円以下

注1:3ヶ月以内に医療費、教育費などの出費がある場合は相当額が控除されます。


引用元:法テラス
URL:https://www.houterasu.or.jp/madoguchi_info/faq/faq_3.html

 

 

勝訴の見込みがないとはいえないとき

通常の法テラスの代理援助では裁判の勝訴・敗訴の可能性を基準として、
代理援助の可否を決定します。

 

債務整理の案件では勝訴はありません。
その代わり自己破産では免責許可の可能性を基準としています。
また、任意整理や個人再生では「弁護士の代理によって解決が見込まれるもの」となっています。

 

 

民事法律扶助の趣旨に適すること

法テラスによると「権利濫用的な訴訟には援助できない」、という基準があります。

 

自己破産では免責不許可事由に当たる、
ギャンブル・浪費・詐欺的借入が原因で自己破産することがあります。
その借金を解消するために法テラスの代理援助を利用するのは、
権利濫用と捉えられても何ら不思議ではありません。

 

しかし、私自身もそうだったのですが、免責不許可事由があったとしても
ただちに趣旨に反するとは判断されません。

 

厳しく審査はされますが、多くのケースで代理援助の決定が下りています。
私のケースでも代理援助の決定が下されました。

 

 

償還義務・猶予・免除

法テラスに立て替えてもらった弁護士費用は、
分割払いで返済する義務があります。

これを償還義務と呼んでいます。

 

援助開始の決定から2ヶ月後の毎月15日に支払います。
月額5,000円か1万円を選ぶことになります。
郵便局の口座から自動引き落としになります。

 

私もそうだったのですが、支払いが苦しい場合は
債務整理進行中は償還の猶予措置が取られることがあります。
また、事件終結後は支払いが免除されることもあります。

 

この猶予・免除については担当弁護士に相談すると、
法テラスに上申してくれることがあります。
※上申=目上の立場に対して意見すること。

 

自分で法テラスに交渉すると門前払いを受けることがあります。
必ず弁護士に相談して進めることをオススメします。

 

なお、過払い金が発生した場合は優先して立替金と相殺します。
立替金を全て返済してから過払い金が支払われることになります。

 

 

代理援助の内容

着手金

弁護士の着手金として、

  • 自己破産・同時廃止で126,000円〜178,500円
  • 自己破産・少額管財で210,000円〜268,000円
  • 任意整理で105,000円〜189,000円
  • 個人再生で157,500円〜210,000円

の範囲内で立替払いされます。

 

私の場合は最初は同時廃止扱いで申し込んだため、着手金12,6000円でした。
その後、少額管財に移行しましが着手金の増額はありませんでした。

 

実費

債務整理中にかかる実費(コピー代や郵送費、電話代など)として、

  • 自己破産で23,000円
  • 任意整理で25,000円〜35,000円
  • 個人再生で35,000円

が立替払いされます。

 

私の場合は自己破産で23,000円でした。

 

裁判所費用

次の裁判所費用は立替払いされません。
(自己破産・個人再生ともに共通です)

  • 官報公告費
  • 予納郵券(郵便切手)
  • 申立費用

また、自己破産の管財人報酬は立替されません。

  • 引継ぎ予納金(管財事件の管財人報酬20万円

ただし、引継ぎ予納金は20万円以下で引き受ける管財人がいる可能性はあります。
自己破産の申し立てをしてから裁判所と相談するという裏技で上手くいくこともあります。⇒ 債務整理の3つの手続きのどれを選ぶのか?
(自己破産⇒引き継ぎ予納金不足の項目を参照)

 

そして、個人再生の再生委員報酬も立替されません。

  • 再生委員報酬(東京で15万円、それ以外は不要)

 

成功報酬

成功報酬は事件終結後に話し合いにて決定します。

 

ここでいう成功とは、

  • 自己破産の場合は免責許可
  • 個人再生の場合は再生計画の認可
  • 任意整理の場合は借金減額などの依頼人に有利な条件での和解

となります。

 

私の場合は自己破産の免責許可が下りたので成功になりますが、
成功報酬は法テラスから0円という結果を通知されています。

 

過払い金の報酬

過払い金が発生した場合の弁護士報酬は、

  • 裁判外での交渉で回収した場合は回収額の15%
  • 訴訟によって回収した場合は回収額の20%

報酬金が発生します。

 

回収した過払い金から、まずは立替払いの着手金や実費相当分を返済します。
残った金額から弁護士に過払い金報酬を支払います。

 

 

法テラスを利用するコツ、審査基準と立替払いの費用のまとめ

法テラスを利用するコツ

無職・無収入で弁護士費用を支払えない、
という場合には法テラスはオススメです。

 

まずは弁護士に分割払いをお願いして
断られた場合は法テラスを利用したいと申し出てみたください。

 

法テラスは審査に時間がかかるので受任通知をすぐに送れません。
審査している間は督促が止まりません。

 

そのため、「分割払いのお願い⇒法テラスの利用」の順番のほうがオススメです。

 

法テラスの審査基準

法テラスの審査基準は3つあります。

  1. 資力基準の該当者
  2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  3. 民事法律扶助の趣旨に適すること

重要なのは資力基準では収入と資産によっては利用できません。

 

法テラスの立替払いの費用

着手金・実費・成功報酬は立替払いの対象です。
しかし、裁判所費用だけは立替されません。

 

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