個人再生のデメリットは適切に対処する

ナツメ@破産百科です。

 

個人再生デメリットは主に5つあります。

  1. 官報公告で債務整理がバレる可能性
  2. 裁判所によって不公平な運用
  3. 保証人の支払い義務が発生
  4. 信用情報機関にブラックリスト登録
  5. 財産制限(清算価値保障の原則)

 

ここでは、デメリットの解説と対処方法をお伝えします。

 

官報公告

個人再生をすると官報に掲載されます。
官報とは国の広報誌のことで法律の改正や地価公示、人事異動などの情報が掲載されます。
官報に掲載されることを官報公告といいます。

 

官報は誰でも見ることが出来るので、
個人再生の事実が勤務先や知人などにバレる可能性があります。

 

この官報公告でバレる可能性がデメリットと言えます。
しかし、実際問題として官報からバレることはありません。

 

普通の会社や一般人は官報を閲覧する習慣がありません。
見ても何のメリットもないので誰も気にしていません。

 

国の法律改正や地価公示などはニュースや新聞でチェックするもので、
官報を見て調べるものではないからです。

 

あなたも官報を見たことはないのではないでしょうか。
もし、ご不安であれば任意整理の手続きを選択して、
官報公告を避けることも出来ます。

 

ちなみに自己破産では官報に2回公告されますが、
個人再生では通常3回公告されます。

 

個人再生で官報公告される条件
  1. 裁判所が再生手続開始の決定をしたとき
  2. 再生債務者が再生計画案の提出をしたとき
  3. 裁判所が再生計画認可の決定をしたとき

 

裁判所によって不公平な運用

実は裁判所は全国一律の統一基準で動いていません。
個人再生に関係する民事再生法は全国統一基準です。
しかし、裁判所の運用基準は全国各地の裁判所の任意で決まってきます。

 

そのため、裁判所ごとに公平でない処理基準が見られます。

 

例えば、裁判所は個人再生委員を選任します。
再生委員とは再生計画案の作成を指導し、個人再生手続きを監督する人です。

 

東京地裁では全てのケースで個人再生委員を専任しています。
しかし、東京以外の裁判所で弁護士が申し立てるケースでは
再生委員を選任しません。

 

東京地裁では再生委員の報酬として15万円を負担します。
その一方で東京以外の場合、再生委員がいないので費用負担はありません。

 

このように、裁判所によって運用基準が違うので、
申し立てる裁判所によっては不公平となっています。

 

個人再生委員の報酬(予納金)
  全国の地裁(東京を除く) 東京地裁
本人申し立て 30万円 25万円
弁護士申し立て 不要 15万円

 

 

保証人に支払い義務が発生する

個人再生で再生計画が認可されても保証人の支払い義務は残ります。
申立をした再生債務者の借金が減額されるだけで保証人には影響を及ぼしません。
(民事再生法177条2項)

 

※民事再生法177条2項

(再生計画の効力範囲)

第177条 2  再生計画は、別除権者が有する第五十三条第一項に規定する担保権、再生債権者が再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び再生債務者以外の者が再生債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。

 

つまり、個人再生で再生計画が認可されれば、
保証人に返済義務が発生します。

 

個人再生で主債務者の借金を1/5に圧縮した場合、
保証人は残りの4/5の借金を支払う義務があります。
その上、保証人には一括で返済を要求されます。

 

そのため、不義理を働きたくない保証人がいる場合、
任意整理の方針選択にすることも出来ます。

 

任意整理であれば整理する債務を選べるので、
保証債務があるものを外すことで保証人との人間関係を守れます。

 

 

ブラックリスト登録

個人再生の申立をすると指定信用情報機関に異動情報として登録されます。
いわゆるブラックリスト登録と呼ばれています。

 

ブラックリストに登録されると新たな借り入れは難しくなります。

 

信用情報機関の登録年数
  全国銀行個人信用情報センター(KSC) シー・アイ・シー(CIC) 日本信用情報機構(JICC)
個人再生 10年間 不掲載 5年間

 

ブラックリストの登録期間は完済してからの年数になっています。
個人再生では通常3年間で返済するので、
登録期間が5年間の場合は合計で8年間登録されます。
また、登録期間が10年間の場合は合計13年間になります。

 

この期間中は新しい借金の申込みは避けたほうが無難です。

 

ブラックリストについて詳しくまとめました。
⇒ ブラックリストのデメリットと解除する方法

 

 

財産制限と返済金額

個人再生では自己破産と違って財産の換価処分はありません。

 

しかし、個人再生の再生計画に定める返済金額には一定の制限があります。
返済総額は債務者が所持している財産額よりも多くする必要があります。
(民事再生法174条2項4号)

 

※民事再生法174条2項4号

(再生計画の認可又は不認可の決定)

第174条 2  裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、再生計画不認可の決定をする。
四  再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。

 

「再生債権者の一般の利益」とは破産手続きよりも
財産を多く分配することを意味します。
このため、個人再生では自己破産と違って債務は免責されず、
減額された借金を分割払いしていきます。

 

例えば、借金が1000万円ある場合、個人再生で債務を1/5に圧縮すると
200万円の支払い義務が残ります。
しかし、財産の額面が300万円ある場合は最低弁済額は300万円になります。

 

このように現に所有している財産額を支払う原則を
「清算価値保障の原則」といいます。

 

ローンが付いていない自動車を所有している場合、
この清算価値保障の原則が関係してきます。

 

時価評価額が高額な自動車の場合、
個人再生の債務圧縮の恩恵が少なくなってしまうので注意が必要です。

 

また、高額な財産がある場合、月々の返済金額が増えます。
弁済原資に比べて最低弁済額が高すぎると支払不能になってしまうので、
再生計画は認可されません。

 

ただし、個人再生の申立以前に名義変更することで
自己所有の自動車を処分せずに済みます。
⇒ 個人再生で車を残す方法、名義変更で引き上げを防止

 

なお、東京地裁では個人再生の財産評価について、
破産手続きの換価基準をそのまま準用しています。

 

※財産の換価基準についてはコチラ
⇒ 自由財産の範囲と自由財産の拡張、財産の換価基準

 

 

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⇒ 借金問題を債務整理で解決する方法

 

 

 

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