任意整理の手続きの流れと特徴
ナツメ@破産百科です。
手間と時間のかかる裁判所を使わずに自宅・自動車などの財産を失わない
債務整理の方法として任意整理があります。
任意整理では債権者と交渉して借金を減額できるだけでなく、
受任通知を送って借金の取り立てを止めることが出来ます。
突然かかってくる電話での督促も止まり、安心して日常生活を送れます。
今回は任意整理の手続きの流れと特徴について解説します。
任意整理の手続きの流れ
弁護士に相談して契約したり債権者に受任通知を送るのは
自己破産や個人再生の手続きと一緒です。
異なるのは債権者に和解案を提示して交渉すること、
和解案に合意が得られたら和解書を取り交わすことです。
そして、和解金(減額した借金)を返済していきます。
すべて弁済すると契約の終了となります。
任意整理の流れは下記になります。
- 弁護士との初回相談
- 弁護士と契約
- 債権者への受任通知(介入通知)の送付
- 債権者への取引履歴の開示請求
- 取引履歴と利息制限法に基づく引き直し計算
- 弁済原資(プール金)の積立
- 過払い金の返還請求(過払い金が発生している場合)
- 和解案の提示と交渉
- 和解案の合意、和解契約の締結
- 和解金の弁済(減額した借金の返済)
- すべて弁済すると契約の終了(経済的更生)
※今回は8〜10の任意整理特有の手続きを解説します。
他の手続きについては、こちらからご覧になることをオススメします。
⇒ 借金の解決方法の目次
和解案の提示と交渉
月々の支払い金額や条件について交渉します。
支払い回数は分割36回払いになります。
今まで返済してこなかったとしても、
遅延損害金を上乗せすることはありません。
また、将来の利息についても上乗せはありません。
あくまで依頼人が無理なく支払える金額で和解交渉を進めます。
ただし、最近では和解交渉に一切応じない強硬な姿勢を見せる金融業者もいます。
その場合は個別に特別調停や裁判になるケースもあります。
債務整理が専門でキャリアの長い弁護士ほど、この交渉が上手い傾向にあります。
特に毎月の支払金額と借金の減額は弁護士の腕の見せどころとなっています。
和解案の合意、和解契約の締結
金融業者と合意が得られたら和解契約を締結します。
和解に法的拘束力を持たせるために和解書を取り交わします。
つまり、相手方が契約を破った場合は和解書を根拠として、
債務不履行責任を問えるということです。
和解契約書は弁護士が作成するので、
依頼人は記名押印するだけで済みます。
この和解契約書に基いて今後の返済を行っていきます。
和解金の弁済(減額した借金の返済)
和解契約に従って毎月返済していきます。
返済方法は下記のように弁護士によって異なります。
- 弁済原資(プール金)を弁護士事務所に預けてから弁護士が各債権者に支払う。
- 依頼人が直接、各債権者に支払う。
1番は依頼人が複数の債権者に支払う面倒がありません。
しかし、1,000円程度の送金手数料を取る弁護士が多いようです。
それでも弁護士に返済をある程度管理してもらったほうが、
完済する可能性は高まります。
任意整理中に返済が滞ると自己破産処理に移行するので、
弁護士にフォローしてもらったほうが安全です。
なお、通常は弁護士費用を支払い終わってから、
各債権者に借金の返済をします。
注意点
弁護士から助言と指導をされるのですが、
毎月の家計の状況を弁護士に出すことになります。
これは家計の収支のバランスをよくすることで経済的更生を促す狙いがあります。
なるべく協力したほうが万が一、方針転換して自己破産や個人再生になったときに有利に働きます。
また、弁護士は複数の債務整理案件を並行して処理しています。
そのため、職務に忙殺されているのか連絡が取りづらい場合があります。
分からないことがあれば自分から連絡を取って質問することがオススメです。
オススメ記事