過払い金請求のメリットと意外なデメリット

ナツメ@破産百科です。

 

任意整理や自己破産をしたときに払いすぎていた利息があれば、
過払い金の請求ができます。

 

しかし、過払い金の請求をしても支払ってもらえないことがあります。

 

たとえ相手が大企業でも武富士のように倒産してしまった会社があるくらいなので、
請求しても回収不能になってしまうケースがあります。

 

今回は回収不能になる可能性を踏まえて
過払い金請求のメリットデメリットを詳しく解説します。

 

過払い金請求のメリット

過払い金のメリットを列挙すると、

  • 一部の業者でも債務がないことが分かるので嬉しい。
  • 過払い金の返還を受けるので気分がいい。
  • 過払い金を他の債権者の返済に充当して、返済期間を大幅に短縮する。
  • 他の債権者に返済しても、過払い金が残ったので完全に収入になって儲かる。
  • 自己破産の予定だったが、過払い金の分で借金が減ったので任意整理で済んだ。
  • 回収した過払い金を自己破産の弁護士費用や管財事件の引継ぎ予納金に当てた。

などがあります。

 

このように、払いすぎた利息が返ってくると気分的に嬉しいということあります。
もちろん、臨時収入になるので生活が楽になります。

 

それに加えて返済期間の短縮や自己破産から任意整理への方針転換が可能になる、
など債務整理の実務上のメリットもあります。

 

 

過払い金請求の訴訟と交渉

過払い金請求を受けた金融業者は、すぐに支払うとは限りません。
請求金額の引き下げや分割払いを求めて交渉してきます。

 

過払い金の請求を受ける会社は危機的な経営状態であることが珍しくありません。

 

「今まで貸してきた人」ほぼ全ての債務者に過払い金を請求されているので、
返還するだけの資金がなくなっていることだってあるのです。

 

武富士の倒産と過払い金

かつて武富士という会社が過払い金の請求を一因として倒産したように、
大手の貸金業者でも潰れてしますのです。

 

破綻寸前の金融業者を相手に過払い金の請求をする場合は、
相手方も支払い困難な危機的状態であることを念頭に置くことをオススメします。

 

このように相手方の倒産で過払い金の返還が受けられなくなることもあります。
そのため、過払い金の減額を受け入れるなど柔軟な対応をする必要があります。

 

過払い金返還の交渉

例えば過払い金の支払いでは一括払いではなく
分割払いを条件にするなど工夫します。

 

また、資金が早急に必要な場合も減額交渉に応じる必要性が出てきます。

 

過払い金が全額返還されるのが当たり前」、それは理論としては正しいです。
しかし、現実問題として理論を押し通すのは厳しいケースもあります。

 

 

過払い金の訴訟と回収は別物

裁判に勝っただけでは過払い金の回収は出来ません。

 

裁判での勝訴と回収は別です。裁判所は回収作業をやってくれません。
判決しか出せません。

 

そのため裁判所は和解を勧めてくるケースがあります。
むしろ判決を出すより和解のほうが多いくらいです。

 

過払い金の回収で苦労することが目に見えているため
和解案を提示して無理のない過払い金の支払いを促しているわけです。

 

ここで無理に判決を得ようとすると、
請求して訴訟して勝ったはいいが、回収不能でした・・・
こうなってしまうケースが往々にしてあります。

 

 

そこで適当なところで和解するのも解決策です。

 

金融業者に徹底抗戦されても面倒なだけだったりします。

 

過払い金を全額回収したくなるお気持ちは良くわかります。
正義は過払い金の請求をしている側にあるのですから。

 

しかし、実際問題として回収できる妥当な金額があります。

 

また、回収のための時間とお金と精神的疲労のバランスを見極めることも重要です。
過払い金の回収で仕事や家庭に差し障りがあっては元も子もありません。

 

 

過払い金の回収とデメリット

通常、勝訴判決を勝ち取った場合、
弁護士は金融業者に支払金額や期日などを通知します。

 

期日までに回答や支払いがない場合、
勝訴判決を元に差し押さえなどの強制執行手続きをします。

 

 

しかし、敗訴を不服とした金融業者は控訴して、
高等裁判所で争う姿勢を見せる場合もあります。

 

さらに上告して最高裁判所で争うことも十分に考えられます。
その場合は時間と訴訟費用のみならず、精神的疲労は相当なものになってきます。

 

ここから先は価値観の問題としか言えませんが、戦い続けてもいいですし、
適当なところで過払い金の減額を条件とした和解交渉をすることも出来ます。

 

 

このように過払い金の回収には相手が納得しなければ
裁判所で長期間争うというデメリットが発生する可能性があります。

 

 

過払い金でブラックリストに載るという誤解

過払い金請求でブラックリストに掲載されることはありません。

 

2010年4月19日より金融庁の指導で指定信用情報機関に
掲載されることはなくなりました。

 

2010年までは過払い金の請求をすると
ブラックリストに載ることがデメリットでした。

 

過払い金の返還請求は金融業者から不法に奪われたお金を取り戻す行為です。
これは正当な法律上の権利行使です。

 

そのため、他の債務整理のようにブラックリスト登録されることはありません。
これで安心して過払い金の請求ができます。

 

この過払い金とブラックリストについて詳しくまとめました。
⇒ 過払い金でブラックリストに載る?それは誤解です!

 

 

過払い金と弁護士の方針

弁護士としては金融業者と安易な和解をすると、
その後、別な依頼人に過払い金請求交渉を頼まれた場合、
その金融業者が同じ条件を突きつけてくる傾向にあります。
それを避けるためにも過払い金の減額を認めない弁護士もいます。

 

また強硬な姿勢を取ることで貸金業者に『強敵』との印象を抱かせます。
金融業者も戦ったら面倒な相手には優先的に支払うこともあります。

 

また、交渉力の強い弁護士は、訴訟前であれば過払い金元本の全額で和解して、
訴訟になってしまったら訴訟費用も貸金業者に請求することがあります。
こうすると訴訟費用を払うことを嫌って訴訟前の和解に応じる金融業者がいます。

 

他には、依頼人の希望を最大限考慮する弁護士もいます。
短期間でトラブルを解決するために裁判外で即和解してくれる弁護士もいます。

 

このように弁護士によって方針が異なるので、
自分に合った弁護士を選ぶことをオススメします。

 

 

過払い金「だけ」を扱う弁護士

まず、過払い金の回収だけを業務とする弁護士・司法書士がいます。

 

過払い金の回収はするけれど、
過払い金の発生していない債務の処理はやらない弁護士のことです。

 

弁護士や司法書士にとっては、
過払い金返還請求事件だけを引き受けたほうが儲かります。
ほとんどの弁護士は真面目で依頼人の利益を考える人ですが、
一部に不良弁護士がいることは事実なので気をつけることをオススメします。

 

ちなみに日弁連の「債務整理事件処理の規律を定める規定」によると、
過払い金返還請求事件のみの依頼を受け付けてはいけないことになっています。

 

過払い金が発生しなくても依頼を引き受けることは弁護士の義務です。
この規定に違反すると弁護士会から懲戒されます。

 

 

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