自己破産の予納金は同時廃止で1万6,184円から!
ナツメ@破産百科です。
自己破産の申立には費用がかかります。
裁判所に支払う予納金は、同時廃止で1万6,184円、
管財事件で22万2,150円となります。
管財事件の場合、予納金の分割払いも認められています。
代理人弁護士に分割の相談をすると、
破産管財人と折衝して分納が認められます。
自己破産の費用の種類
自己破産にかかる費用として以下の2つがあります。
- 弁護士に支払う弁護士報酬
- 裁判所に支払う予納金
裁判所に支払う予納金は
- 管財人報酬
- 官報公告費、予納郵券などの費用
の2種類に分けられます。
破産管財人は裁判所が雇用しているので、
裁判所から管財人に報酬が支払われます。
今回は、弁護士報酬を除いて、裁判所に支払う予納金について解説します。
予納金を納付する義務
自己破産の申立をするには、裁判所が定めた破産費用を納める必要があります。
(破産法22条1項)
※破産法22条1項
(費用の予納)第22条 破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
この破産費用は裁判所が定めることになります。
例えば、少額管財事件の予納金は20万円です。
しかし、この20万円という金額は最低金額であって、
増額されることもあります。
増額されるケースとして以下の例があります。
- 遠隔地に不動産などの換価すべき財産がある
- 資産調査に通常よりも時間がかかる
- 管財人が複数必要な場合
つまり、管財人の負担が大きく実費がかかる場合は増額となります。
また、この破産費用を予納しない場合、破産手続きの申立は却下されます。
(破産法30条1項1号)
※破産法30条1項1号
(破産手続開始の決定)第30条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。
一 破産手続の費用の予納がないとき(第二十三条第一項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。
ちなみに、予納金の予納とは「予め納めること」です。
つまり予納金は全額前払いとなっています。
予納金の金額
先ほど述べた通り、予納金の金額は一律に決まっていません。
事例によって金額は異なります。
予納金の金額は下記の状況を考慮して決定します。
- 破産財団に組み込まれる財産
- 債務者の負債(債権者の数を含む)
- その他の状況
(破産規則18条1項)
※破産規則18条1項
(費用の予納・法第二十二条)第18条 法第二十二条第一項の金額は、破産財団となるべき財産及び債務者の負債(債権者
の数を含む。)の状況その他の事情を考慮して定める。
2 破産手続開始の決定があるまでの間において、予納した費用が不足するときは、裁判所は、
申立人に、更に予納させることができる。
この規則は最高裁判所が定める規則です。
最高裁判所は破産手続きの進行について
必要な規則を定めることが出来ます。(日本国憲法77条1項)
※日本国憲法77条1項
(最高裁判所の規則制定権)第77条1項 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、 規則を定める権限を有する。
また、予納金額の決定について、「その他の状況」とは
- 否認訴訟(管財人が否認権行使のために訴訟すること)
- 仮処分(例えば、一時的な財産の保全処置、仮差押)
- 予想される破産財団額の多寡
- 換価処分に長期間も時間がかかるか
などが考慮されます。
また、予納金の金額の決定について裁判所の裁量を認めています。
(東京高裁判例昭和63・5・26)
そのため、裁判官の一存で予納金の金額は変動します。
予納金の具体的な基準
予納金額の具体的な基準は各地方裁判所によって異なります。
ここでは、例として東京地裁の予納金の基準を解説します。
同時廃止事件
官報公告費 | 1万584円 |
---|---|
申立手数料 | 1,500円 |
予納郵券(郵便切手) | 4,100円 |
合計 | 1万6,184円 |
管財事件(自己破産申立)
破産管財人報酬 | 20万円 |
---|---|
官報公告費 | 1万6,550円 |
申立手数料 | 1,500円 |
予納郵券(郵便切手) | 4,100円 |
合計 | 22万2,150円 |
※東京地裁民事第20部「破産事件の手続費用一覧」より抜粋して引用
予納金の基準は地域によって違う
これは東京地裁の基準です。
他の地方裁判所、地裁の支部ごとに基準は異なります。
自己破産の申立をする地域によって予納金の金額が異なるのは平等ではありません。
そのため、東京地裁よりも予納金額が高い場合は
東京地裁に申し立てる方法があります。
しかし、管轄違背を理由に即時抗告される危険性はあります。
自己破産は住所地での申立を基本とします。
そのため、裁判管轄が違う裁判所に申立をすると
債権者に抗告されて申立を却下される可能性があります。
また、昔の東京地裁は管轄違背に寛容でした。
しかし、自己破産件数の増加と裁判所の運用の変化によって
管轄の異なる東京地裁への申立は以前より難しくなっています。
予納金の納付と分納
20万円の予納金は破産手続開始の決定後に
破産管財人の口座に直接振り込みます。
原則的に予納金は破産手続きの申立の時点で必要です。
(破産法22条1項)
※破産法22条1項
(費用の予納)第22条 破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
しかし、東京地裁では予納金の分納を認めています。
予納金を最長4か月間かけて支払うことが可能です。
20万円の予納金を4回に分けて、
5万円×4か月間の分割払いにできます。
ちなみに、さいたま地裁での予納金は20万円です。
分納は10万円の2回払いになります。
どれだけ遅くとも債権者集会の1週間前までには支払いを終える必要があります。
それ以上遅れると破産手続きは延期されます。
予納金まとめ
自己破産の予納金は、同時廃止で1万6,184円、
管財事件で22万2,150円となります。
※東京地裁の破産事件の手続費用
同時廃止 | 1万6,184円 |
---|---|
管財事件 | 22万2,150円 |
破産管財人の報酬は分納にすることも出来ます。
分割払いは弁護士に相談することをオススメします。
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