債務整理の3つの手続きのどれを選ぶのか?

手続き選択の基準、メリット・デメリットを把握しながら選ぶ。

破産者・Jです。

 

債務整理には大まかにいって3つの方針があります。
(自己破産・任意整理・個人再生)
ここでは各手続きのメリットデメリットを踏まえつつ、方針選択の基準について解説していきます。
方針は債務残高と返済原資のバランスから自動的に決まってくる側面はありますが、
いかに希望を通すのか?という重要なことも解説していきます。

 

 

方針選択に向けて弁護士に説明すること

弁護士は初回相談で方針の決定を促します。
後から方針が変わることもありますが、初回相談で得た情報から方針の決定を促します。
(よく誤解されることですが方針の決定は弁護士が決めることではありません。依頼人であるあなたが最終的な決定を下します。弁護士は依頼人の代理にすぎません。)

 

まず各債権者との初回取引の時期を確認します。
利息制限法による引き直し計算をしたときに最初の借入時期と
だいたいで良いので約定利率が分かれば債務残高が一応計算できます。

 

例えば、「消費者金融Aは200万円請求しているが、
制限利率に引き直し計算をすると50万円程度になります。
銀行Bは300万円請求しているが、実際には100万円程度になります。
債務総額は合計150万円になるので、これを債務残高の基準にしましょう。」
このような計算からおおよその債務総額が決定します。

 

最初の借入時期と約定利率が分かれば過払い金の有無も分かります。
過払い金があれば、その金額も判明します。

 

ただ依頼人は借り入れ利率には無頓着なケースもあります。
私もそうだったのですが、利息の計算よりも月々の支払金額に
どうしても目がいってしまいます。
たとえそうだったとしても借入金額と請求されている負債総額、
そして借入時期が分かれば、利率を逆算することが出来るので
過払い金の有無も一応は判断できます。

 

 

債務整理以外の法的手段

債務整理は自己破産・任意整理・個人再生の3つの手段があります。
しかし、場合によってはこれ以外の解決策が使えるケースがあります。

 

相続放棄

負債を相続したために債務整理を検討している場合は、まず相続放棄を検討します。
(民法938条〜)
相続放棄には熟慮期間という相続を放棄できる期間が決まっています。
(民法921条2、915条1)
相続開始を知ってから3ヶ月間と定められています。

 

しかし、この3ヶ月間をすぎてしまっているからといって、
すぐに諦める必要はありません。

 

例えば相続人が相続できる財産がまったくないと考えていて、
なおかつそれを信じるに相当な理由がある場合です。
ある日、貸金業者からいきなり督促を受けて、
それが相続した負債であることが判明した場合は、
督促を受けた日=知った日であるため、
この日から3ヶ月以内であれば相続放棄出来る可能性があります。

 

消滅時効

最後の返済から長期間返済をせずに放置している場合です。
いわゆる夜逃げ状態といわれます。

 

この場合は消滅時効の援用が使えます。
消費者金融や銀行からの借金は商事債権でです。
商事債権の消滅時効は5年です。(商法522条)
そのため最後の取引から5年間経過していないかを確認する必要があります。
5年経過しているのなら消滅時効の援用が出来るので債務を免れることが出来ます。

 

消費者問題

債務整理に至った原因が消費者問題というケースがあります。
例えば、詐欺的なローン契約を結んでいるとか訪問販売で不当に高額なローン契約を結んだ、または資格商法にハマって消費者金融から多額の借金をした、などというケースです。

 

これらの事例の中には民法の錯誤により契約無効を主張することが出来るものがあります。
または民法の詐欺により契約の取り消しになるケースもあります。

 

そして消費者契約法や特定商取引法による契約の無効または取消が出来ないかどうか、
弁護士に相談する価値があります。

 

 

任意整理

もっとも債務者にデメリットの少ない方法として任意整理があります。
自己破産や個人再生のように裁判所を通す必要もなく、
車や自宅を手放すという資産への制限もありません。
そのため、まずは任意整理から検討します。

 

任意整理が出来るかどうかは弁済原資と負債総額のバランスから判断します。

 

弁済原資

弁済原資とは債務を返済する資金のことです。弁済原資はプール金ともいいます。
弁済原資は一般的に【住居費を引いた手取り収入の1/3】と言われています。

 

依頼人の希望金額で弁済原資は決まるのですが、
収入よりもなかり無理をした金額を設定したがる人が多いのです。

 

例えば手取り20万円で家賃7万円とします。
計算すると、20-7=13、13÷3=4.333...になります。
一般的な弁済原資としては4.3万円です。
しかし、本来4.3万円が妥当でも7万円8万円という高額な弁済原資を設定して
早めに返済する計画を立てる人は珍しくありません。
当然、無理があるので計画は頓挫してしまい再度の債務整理となってしまいます。

 

負債総額

負債総額は引き直し計算後に残った元本になります。
この負債総額は大雑把な推計にすぎませんが一応の目安になります。
ここから過払い金の有無と金額を勘案して弁護士報酬を加味すると
最終的に債務者が負担すべき金額が算出されます。

 

判断の分かれ目

負債総額を弁済原資で割ると分割返済の回数を予測できます。
この分割返済回数が36回以内であれば任意整理可能です。

 

例えば負債総額150万円、弁済原資4.3万円の場合は、
150÷4.3=34.884となります。(35回)
36回以内なので任意整理可能となります。

 

36回という基準は金融業者の和解条件が分割36回ということが多いためです。
それ以上の回数になると金融業者が和解に応じないことが多いので自己破産処理を検討します。

 

ただし大企業のサラリーマンや公務員は36回を超える長期の和解条件もありえます。
収入が安定しているため長期の支払いにも耐えられるという目論見があるためです。
逆に零細企業やフリーターや自営業者は36回よりも短期の和解条件となる可能性があります。

 

あくまで任意整理とは裁判外の和解を指しています。
和解交渉は法的拘束力がないために金融業者によっては上記のような一般例にとらわれないケースもあります。
例えば一切の交渉を受け付けない強硬な姿勢を見せる金融業者もいます。
和解交渉を撥ね付ける姿勢を見せることによって支払いを促したい狙いが考えられます。
債務者は自己破産に忌避感があるため支払いか自己破産の2択を迫れば、
かなり無理をしてでも支払うであろうという目論見があるためです。

 

 

自己破産

任意整理が出来ないケースでは自己破産を検討します。

 

免責不許可事由

自己破産できないケースとして免責不許可事由があります。

 

近年の少額管財事件では免責不許可事由があっても
広く裁量免責が認められるようになっています。
これは調査型の管財事件というもので免責不許可事由があっても
管財人の調査に協力して免責審尋や債権者集会で誠実な態度を取ることで
裁判官による裁量免責が認められます。

 

私が確認しているのは東京地裁とさいたま地裁だけですが、
地方にお住まいの場合でも前述の裁判所に申し立てることは出来ます。
(管轄が違うので反対意見を出されることはあります。)

 

破産申立をすると金融業者は債権を損金処理するため督促がなくなるというメリットもあります。
そのため、たとえ免責が不許可になったとしても破産の申立をするだけのメリットはあります。

 

少額すぎる借金

一般的に自己破産は多額の負債がある場合に選択されると思われています。
債務総額200万円以上が目安であるとも言われています。

 

しかし、自己破産の原則は「債務が支払不能である」ことが本質です。
そのため病気や老齢で働けない状態にあるのであれば負債がいくらであれ自己破産を選択します。

 

引継ぎ予納金不足

免責不許可事由があるときは管財事件になります。

 

管財事件には管財人の報酬として引継ぎ予納金があります。
この金額は20万円が原則とされていますが、どうしても用意できない場合もあります。
私も支払うのが大変で親に肩代わりしてもらったくらいです。
ただし20万円以下の報酬でも管財人を引き受ける弁護士がいることもあるので、
とりあえず破産の申立をして担当裁判官と話し合うのも1つの方法となります。

 

ちなみに生活保護者の場合は法テラスが引継ぎ予納金を扶助することになっています。

 

欠格事由による失業

自己破産が欠格事由となり資格喪失するケースがあります。
それが「破産者であって復権を得ないもの」であるから今持っている資格を喪失するのか?
それとも新規に資格「取得」の妨げになるのか?
これは資格ごとに破産者の取り扱いが異なるので弁護士に確認することをオススメします。
場合によっては新規の取得だけに制限があり実質的なデメリットにならないケースがあります。

 

 

一括弁済による債務整理

一括弁済をするかわりに利息の減額を求めるという交渉をするパターンです。
退職金などのまとまった資金を一括弁済に使用します。
ただし減額できるかどうかは債権者次第なので、まずは任意整理の36回払いの和解案を出して、
減額に応じる業者には一括支払いをする、そうでない業者には分割で支払うということになります。

 

両親からの資金提供の可能性は十分に期待できるので、
家族の協力が得られる場合は相談して頼み込むのも1つの手段になります。

 

また弁済原資が少ない場合は個人再生で債務を1/5に圧縮してから一括弁済する方法が考えられます。

 

 

個人再生

平成13年4月から個人再生が債務整理に追加されました。(民事再生法の改正)
個人再生の選択は債務整理の中では例外処理と考えられます。

 

基本的には支払い不能であり破産相当であると思われるものの、
債務者の特段の事情がある場合は個人再生を選択します。

 

特段の事情とは欠格事由により失職の危険がある場合や自宅をどうしても守りたい場合です。

 

自己破産では免責許可によって債務の支払いを免れることが出来ます。
しかし個人再生では債務を圧縮したとしても元本の1/5は支払わなくてはいけません。
もともと支払い不能であるから自己破産相当なのに個人再生を選ぶのはそれなりに覚悟のいることです。
そのため自己破産のデメリットがそれほど致命的でないことを再確認することをオススメします。

 

また任意整理での和解交渉が決裂した場合に個人再生を選ぶこともあります。
そして任意整理よりも個人再生のほうが債務総額が減少するケースがあります。
事前に債務減額のシミュレーションを行って、
任意整理と個人再生の負債総額と支払い回数と月々の支払金額を算出する必要があります。

 

住宅資金特別条項

自己破産では自宅を処分するので当然引っ越しをします。
そのため地域社会の人間関係を精算する必要があります。
しかも子供の転校も考えなくてはいけません。

 

自分のみならず子供の人間関係まで精算しなくてはいけないので、
心理的な負担は相当なもので強い抵抗感があります。

 

そこで個人再生であれば住宅資金特別条項を使って自宅だけは守れます。

 

ただし最近では個人再生に拘らなくても自宅に住み続けることは出来ます。
自宅を売却した上で、その家に賃貸で住むという選択肢があるのです。
ハウス・リースバックという仕組みで債務整理の形態にとらわれずに利用できるメリットがあります。
このサービスなら引っ越しもしないで済みますし子供の転校も考えなくて大丈夫です。
⇒ 住みながら自宅を売却する「ハウスドゥ」

 

デメリット

個人再生は最低弁済額が決まっているので、
自己破産にと比べると債務者の負担が大きいのです。(民事再生法)

 

しかも任意整理のように裁判所外での柔軟な取り扱いが出来るわけでもありません。

 

したがって債務整理の手段として例外的な選択肢と考えられます。

 

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