消滅時効の援用と時効の中断の手口

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夜逃げ成功と消滅時効の援用と時効の中断の手口

破産者・Jです。

 

長らく放置していた借金は消滅時効の援用をするだけで、
債務が免責になるケースがあります。
いわゆる夜逃げ状態が成功した状態です。

 

しかし、何らかの方法で時効が中断されると債務は免責されません。
今回は、時効の中断を狙ってくる悪徳業者の手口について詳しく解説していきます。

 

 

消滅時効の援用を行う

時効期間が過ぎていれば、弁護士が内容証明郵便で、
消滅時効の援用を通知するだけで債務は免責となります。
通常は受任通知と同時に行うので迅速です。

 

 

債権者は時効の中断を狙う

債権者は夜逃げ状態にあった債務者の住所や電話番号を
何らかの方法で知ったときに時効の中断を狙ってきます。

 

よくあるケースとして引越しに伴う住民票の移動で住所がバレることがあります。
そのため相手方の弁護士が役所で住民票の開示請求を行うと住所が判明してしまいます。

 

 

時効の中断の手口

消滅時効の期間が過ぎていても、
債務者に高圧的な物言いで恫喝し、
元金と利息、遅延損害金を合わせた高額な請求をします。

 

突然、恫喝された債務者は動揺します。
債権者に「少額でもいいから支払え」と言われると、
圧力に屈して支払ってしまうケースがあります。
この『少額でも支払ったこと』を根拠として時効の中断を主張します。

 

 

時効中断の法的根拠

判例では信義則の観点から時効完成を知っていても、または知らなくても、
時効完成後に借金を一部分でも支払えば、その借金を支払う意志があると見慣されるので、
消滅時効の援用は不可能となってしまいます。

 

※最高裁の判例

1 消滅時効完成後に債務の承認をした場合において、そのことだけから、右承認はその時効が完成したことを知つてしたものであると推定することは許されないと解すべきである。
2 債務者が、消滅時効完成後に債権者に対し当該債務の承認をした場合には、時効完成の事実を知らなかつたときでも、その後その時効の援用をすることは許されないと解すべきである。

引用元:最判昭41・4・20

 

しかし、この判例は債務者が商人でした。
事業者が金融業者にお金を借りて、消滅時効の援用の効力を争ったというケースです。
一般的な債務者とは違うので、すべてのケースにこの判例が該当するわけではありません。

 

 

時効は中断されない理由

信義則に反しないと言える特段の事情があれば、
一部弁済後の消滅時効の援用は認められます。

 

例えば下記の判例のように、債権者に騙されて支払ってしまったケースでは、
債務者は信義則に反しないので消滅時効の援用が認められます。

 

※東京地裁の判例

債務者が,消滅時効完成後に欺瞞的方法を用いて債務者に一部弁済をすれば, もはや残債務はないものと誤信を生じせしめ,その結果債務者がその債務の一部弁済をした場合,債務者は,その債務について消滅時効の援用権を喪失しない。

引用:東京地判平7・7・26

 

騙されたとは言えないものの甘い誘い文句で誘導された場合でも、
信義則に反しないとされています。

 

※札幌簡裁の判例

法的に無知な債務者にあえてこれを告げないまま債務の一部の弁済をさせたような場合や、債権者が債務者の時効援用の主張を封じるために時効完成後甘言を弄して少額の弁済をさせた上で態度を一変させて残元金及び多額に上る遅延損害金を請求するような場合は、債務者が時効を援用することは債務承認をした後といえども、信義則に反しないことがあり得ると考えられる。

引用元:札幌簡裁平10・12・22

 

 

その他の注意点

錯誤無効

借金の支払い自体は法律行為ではないので錯誤による無効を主張できません。
そのため支払ってしまった借金そのものではなく、消滅時効の効力を争う必要があります。

 

※民法95条

(錯誤)
第95条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

 

消滅時効期間

時効期間は下記の通りです。

  • 銀行や消費者金融の場合は商事債権になるので5年間です。(商法522条、3条、会社法5条)
  • 個人の貸し借りの貸金債権は10年間です。(民法167条1項)
  • 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は商人ではなく役所扱いのため住宅ローンの消滅時効は10年間となります。
  • 信用金庫は営利を目的としていないので10年間です。

 

※最高裁の判例

信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である。

引用元:最高裁判昭63・10・18

 

消滅時効の効力を争う

消滅時効の援用を求めても争われるケースがあります。
相手方が時効の効力を認めなければ裁判になることは十分にありえます。
その場合は応訴するか通常の債務整理の手続に進むかを選ぶことになります。

 

 

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