個人再生と住宅ローン、住宅ローン特別条項の利用条件

住宅ローン特別条項で担保権の実行と競売を防ぐ

破産者・Jです。

 

個人再生で自宅を守る方法として、
住宅ローン特別条項を利用する方法があります。

 

住宅ローンを支払いながら経済的な再建が出来るので、
他の債務整理にはない大きなメリットとなっています。
デメリットは住宅ローンは減額されないことです。

 

ここでは、住宅ローン特別条項の利用条件を解説します。

 

 

住宅ローンの付いた自宅を守る方法

個人再生では住宅ローンの付いた自宅を処分せずに維持することが出来ます。
住宅ローン付きの物件は、自己破産では競売されてしまいます。
しかし、個人再生の住宅ローン特別条項を利用すると、
今まで通り住み続けることが出来ます。

 

住宅ローン特別条項とは、住宅ローンだけは今まで通り支払って、
それ以外の借金は減額して分割払いにする制度です。(民事再生法196条〜)
その結果、マイホームを手放す必要がなくなります。

 

再生手続開始の申し立てをすれば、再生計画の認可の「見込み」があるだけで、
抵当権の実行を停止できます。(民事再生法197条1項)

 

※民事再生法197条

(抵当権の実行手続の中止命令等)
第197条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生債務者の申立てにより、相当の期間を定めて、住宅又は再生債務者が有する住宅の敷地に設定されている前条第三号に規定する抵当権の実行手続の中止を命ずることができる。

 

そのため、たとえ住宅ローンの返済を延滞していたとしても、
個人再生で住宅ローン特別条項を利用する価値があります。

 

このように住宅ローンの付いた自宅を守りたい場合は、
自己破産よりも住宅ローン特別条項が使える個人再生を選ぶことをオススメします。

 

※住宅ローン特別条項は住宅ローン特則とも呼ばれています。

 

 

住宅ローン特別条項の利用条件

利用条件には「住宅」であること「ローン」であることの2つが必要です。

 

住宅の定義と利用条件

住宅ローン特別条項はローンを組んでいる「住宅」にしか使えません。

 

ここでいう「住宅」の定義とは、

  • 法人ではなく個人である再生債務者が所有すること
  • 自分が住むための建物であること
  • 床面積の1/2以上が居住用であること

であり、建物が2つ以上ある場合は、そのうちの1つだけに適応します。
(民事再生法196条1号)

 

※民事再生法196条1号

(定義)
第196条 この章、第十二章及び第十三章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  住宅 個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものをいう。ただし、当該建物が二以上ある場合には、これらの建物のうち、再生債務者が主として居住の用に供する一の建物に限る。

 

個人である再生債務者の所有

建物の所有には共有も含まれています。
夫婦でのペアローンや親子ローンなどで共有になっていたとしても、
住宅ローン特則は利用できます。

 

しかし、土地の所有権だけでは利用できません。
また、マンションの共用部分のような持分権については除外されます。
これは住宅ローン特別条項が「現に居住する住宅を保護する制度」のためです。

 

自分が住むための建物であること

通常考えられる自宅だけでなく、一時的な住居も「住宅」になります。
例えば、単身赴任のために購入したマンションも「住宅」です。
また、海外赴任のために自宅を貸していたとしても、
帰国後に住む予定があれば「住宅」となります。

 

このように自己の居住用の建物については、
広い範囲で認められる傾向にあります。

 

床面積の1/2以上が居住用であること

床面積の1/2以上が居住用の規定に関係するのは、

  • 店舗兼住宅(美容院・飲食店など)
  • 農家の納屋、作業場
  • SOHOなどの工房つき住宅

などになります。 

 

「住宅」を保護するための特則であることから、
このような商業目的の部分は除外されます。

 

床面積の算定には建物の平面図や自作した間取り図を提出します。
(民事再生法規則102条1項5号)

 

※民事再生法規則102条1項5号

(再生計画案と併せて提出すべき書面)
第102条 再生債務者は、住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出するときは、次に掲げる書面を併せて提出するものとする。
五 再生債務者の住宅において自己の居住の用に供されない部分があるときは、当該住宅のうち専ら再生債務者の居住の用に供される部分及び当該部分の床面積を明らかにする書面

 

建物が2つ以上ある場合

居住用の複数の建物を所有している場合は、
生活の本拠となる建物だけが対象になります。

 

コツとしては、まず申し立ての前の段階で本拠となる建物を決めます。
その建物に自分と家族を引越しさせて生活の実態を作ります。
こうすることで希望の建物に住宅ローン特則を利用できます。

 

住宅ローンの定義と利用条件

住宅ローン特別条項を利用できる「ローン」には条件があります。
(民事再生法196条3号)

 

分割払いにするローンの目的として、

  • 住宅の建設
  • 住宅の購入
  • 住宅の増築・改築・修繕

などが必要です。

 

住宅の購入には新築・中古の区別はありません。
また、一般的な住宅ローンである購入や建築だけでなく、
増改築や耐震補強工事などの修繕も含まれます。

 

そして、抵当権が設定されていることも必要です。
住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関の保証会社が代位弁済します。
代位弁済とはローン利用者の代わりに返済することです。
その保証会社の抵当権が該当建物に設定されていることが必要です。

 

※民事再生法196条3号

(定義)
第196条 三 住宅資金貸付債権 住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権であって、当該債権又は当該債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に限る。以下「保証会社」という。)の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているものをいう。

 

ローンの借り換え

住宅ローンの借り換えも上記のローン目的に合致するのであれば、
引き続き住宅ローン特別条項が利用できます。

 

諸費用ローン

不動産取引には諸費用があります。
仲介手数料、不動産登記費用、不動産取得税、印紙税などになります。
この諸費用を分割払いで借りることを「諸費用ローン」と呼びます。

 

この諸費用も「住宅の建設若しくは購入に必要な資金」に当たります。
そのため、諸費用ローンについても住宅ローン特別条項が利用できます。

 

 

住宅ローン特別条項の利用条件のまとめ

個人再生で自宅を守るためには、
住宅ローン特別条項を利用します。

 

利用できる住宅には条件があります。
個人が所有していること、居住用の建物であること、
床面積の1/2以上が居住用であること、などが必要です。
また、建物が2つ以上ある場合、そのうちの1つだけに利用出来ます。

 

ローンの利用目的としては住宅の建設、購入、増改築、修繕などが
必要条件となります。
また、代位弁済する保証会社の抵当権が設定されていることも条件です。

 

 

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