個人再生のメリットと利用条件、自宅だけは守れる

個人再生のメリットと利用条件、自宅だけは守れる

破産者・Jです。

 

債務整理の中で、ややマイナーな手段として個人再生という方法があります。
この手続は、なんといっても自宅を守れる、というメリットがあります。
自己破産では自宅を失ってしまうので嫌だ!
という人にはもってこいの手続きとなっています。

 

今回は、個人再生の特徴とメリット、利用条件を解説します。

 

 

個人再生とは

個人再生とは債務整理手続きの1つで裁判所を利用します。

 

民事再生法には、
小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則
という特則があります。

 

民事再生法は法人の再生手続きがメインですが、
この特則で法人ではないサラリーマン公務員、小規模個人事業主にも
使いやすい手続きになっています。

 

自己破産との違い

自己破産は財産がある場合は、
財産を債権者に分配して、足りない分は免責になるので支払いません。
財産がない場合は分配もありません。債務が免責になるだけです。

 

個人再生手続きは財産の分配はしません。
債務を最大で1/5に圧縮して3年間の分割で返済していきます。
残った債務は免責されます。

 

 

個人再生の利用条件

個人再生手続きを利用するには債務総額が5,000万円を超えないことが条件となっています。
(民事再生法221条1項、239条1項)

 

※民事再生法221条1項(小規模個人再生)

(手続開始の要件等)
第221条 個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。

 

※民事再生法239条1項(給与所得者等再生)

(手続開始の要件等)
第239条 第二百二十一条第一項に規定する債務者のうち、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「給与所得者等再生」という。)を行うことを求めることができる。

 

住宅ローンの債務はこの5,000万円の条件に含まれていません。
そのため、住宅ローンを除いた債務額が5,000万円未満であれば個人再生が利用できます。

 

この5,000万円の要件を満たせないときは個人再生ではなく、
自己破産手続きになってしまいます。

 

自己破産だと債務者は自宅を失います。
債権者はすべての債務が免責になっていしまうので借金を返してもらえません。
そのため、双方にとって不都合が大きいわけです。

 

そこで、弁護士が債権者と交渉して債権の一部を放棄してもらって
債務総額を5,000万円以内に収めます。
こうして、はじめは債務総額が5,000万円以上あっても、
弁護士の交渉力によって自宅を守れる個人再生が利用できるようになります。

 

 

個人再生の2種類の手続き

個人再生には小規模個人再生給与所得者等再生という
2種類の手続きがあります。

 

小規模個人再生

小規模個人再生では個人再生の申し立てをした後に、
再生計画案を裁判官に提出します。

 

裁判官は再生計画案を各債権者に送付して
書面での決議を求めます。(民事再生法230条4項)

 

過半数の反対意見がなければ再生計画は可決したものと見なされます。
(民事再生法230条6項)
債権者が積極的に反対しなければ同意したことになります。

 

申し立て人が収支状況に合わせた弁済総額を自己申告して再生計画にまとめます。
債権者はそれが妥当かどうかをチェックして議決します。

 

負債額に応じた最低弁済額があります。
しかし、債権者のチェックが入るので給与所得者等再生よりも
最低弁済額は少なくなります。

 

分割払いの期間は通常3年間、特段の事情があれば5年間となります。

 

認可要件に反しない限り、裁判官は再生計画を認可します。

 

債務者は認可された再生計画にしたがって借金を返済します。
その他の債務は免責となります。

 

給与所得者等再生

給与所得者等再生とは、
安定した収入のあるサラリーマン公務員などが利用できます。(民事再生法239条)

 

給与所得者等再生を利用できる人は、小規模個人再生も使えます。
両者を自由に選べるので、事情に合ってる手続き方法を選択できます。

 

小規模個人再生との違いは、
再生計画案に債権者の決議が不要なことです。(民事再生法240条)

 

しかし、認可要件の最低弁済額が増額されます。 (民事再生法241条)
給与所得者等再生の最低弁済額は収入・家族構成・居住地などの条件によって、
法律である程度決まっています。
そのため債権者は再生計画案をチェックしないことになっています。

 

最低弁済額は扶養家族がいると控除金額が増えます。
そのため、独身者は最低弁済額が増えます。
また、給料が高額な人は可処分所得が増えるため最低弁済額が増える傾向にあります。

 

場合によっては小規模個人再生を選ぶほうがお得になっています。

 

 

住宅資金特別条項

住宅資金特別条項とは自由に選択できる特則です。(民事再生法196条)
特則なので使っても使わなくても自由です。

 

住宅ローンの返済中でも自宅だけは守れる仕組みなっています。

 

「住宅ローンの支払いで生活が苦しいが、それでも自宅だけは失いたくない」
このような要望に応える選択肢となっています。

 

この特則を使っても住宅ローン部分の借金を圧縮することはできません。
債権者の同意があれば減額も可能ですが、
通常、住宅ローンの元金と利息、遅延損害金の全額を支払います。

 

住宅ローン以外の債務を3年間で分割払いにするのは、
住宅資金特別条項を使っても使わなくても変わりません。

 

それでも住宅資金特別条項を利用すると、
愛着のある自宅を守れるので自己破産にはない大きなメリットです。

 

 

個人再生委員

個人再生委員とは、裁判所の依頼を受けて再生申立人の資産と収入について調査します。
再生計画案の作成を指導して個人再生手続きを監督します。
裁判所から弁護士が選任されて再生委員になります。

 

自己破産の破産管財人と似ていますが、個人再生は借金の原因を問いません。
自己破産では浪費やギャンブルで免責不許可になるケースでも
個人再生では原因を追求されません。
(再生委員によっては質問されますが認可条件ではありません。)

 

全国的な裁判所の運用として、
個人再生の申し立てを弁護士が代理で行う場合は、
再生委員が選任されません。

 

しかし、東京地裁では弁護士が申し立てをしても再生委員が選任されます。
申し立て人は再生委員の報酬として15万円を負担します。
(本人申し立ての場合は25万円)
しかし、再生委員の存在が手続きをスムーズにするので、時間がかからないというメリットがあります。

 

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