ヤマトや佐川などの運送会社なら管財人に転送されない

ナツメ@破産百科です。

 

自己破産で管財事件になる場合、
破産者の生活には制限が課されます。

 

例えば、郵便物は破産管財人に転送されて開封されます。
今回は自己破産手続き中の郵便物の回送について解説します。

 

郵便物を隠匿すると破産犯罪に問われます。
最悪の場合、10年以下の懲役になるので注意が必要です。

 

破産者に対する注意事項

自己破産の管財事件の場合、
自己破産の申立から数カ月後に破産手続きが開始されます。

 

破産手続きの開始決定がされると、
破産者の生活に制限があることが伝えられます。

 

制限の内容は「破産者に対する注意事項」に書いてあります。

破産者に対する注意事項

破産者に対する注意事項

※これは私が実際に自己破産したときに、
代理人弁護士から渡された注意事項の書類です。

 

破産者への注意事項の内容

破産者には以下の制限と義務があります。

  • 説明義務
  • 裁判所や破産管財人に対して説明する義務

  • 居住制限
  • 海外旅行や引っ越し、転居には裁判所の許可が必要

  • 管財人へ郵便物の転送・開封
  • 後述(今回は郵便物の転送について解説します)

  • 協力義務と不法行為の禁止
  • 管財業務に協力する義務、財産隠匿や妨害行為の禁止

  • 必要に応じての引致
  • 居住制限や説明義務に違反すると強制的に出頭義務が発生

  • 出頭義務(債権者集会・免責審尋)
  • 定められた期日に裁判所に出頭する義務

 

この制限と義務は破産手続きの開始から
債権者集会が終わるまで続きます。

 

今回は郵便物の転送について詳しく解説します。

 

 

破産管財人への郵便物の転送・郵便物の開封

破産管財人への郵便物の転送は
破産者の財産を調査するために行います。

 

前提として、破産手続きが開始されると
破産者の財産の管理・処分権は破産財団に移行します。
(破産法34条)

 

※破産法34条

(破産財団の範囲)

第34条 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。

 

そのため、郵便物の転送とは、
破産管財人が破産財団に属する財産の調査のために行います。

 

また、破産管財人への郵便物の転送は任意とされています。
しかし、資産や債権債務といった権利関係の実態把握に非常に有効なため
東京地裁とさいたま地裁では全件で回送嘱託が行われています。
(破産法81条1項)

 

※破産法81条1項

(郵便物等の管理)

第81条 裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第三項 に規定する信書便物(次条及び第百十八条第五項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。

 

郵便物のうち信書のみ転送される

管財人に転送される郵便物は「信書」に限られています。

 

ここで言う「信書」とは、
「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」
と郵便法と信書便法に定められている書類のことです。

 

例えば、

  • 請求書
  • 納品書、領収書、見積書、契約書、レセプト(診療報酬明細書等)、確定申告書、給与支払報告書など

  • 許可証
  • 免許証、認定書、表彰状など

  • 証明書
  • 印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し、健康保険証、登記簿謄本、車検証、など

といった書類のことです。

 

郵便物の転送と破産犯罪

給料明細(給料支払報告書)や車検証などが回送されると
破産者の財産は管財人に筒抜けとなります。

 

給料明細から給料債権を差し押さえされる可能性があります。
また、車検証から車種名や年式が分かるので自動車の換価処分もあります。

 

自己破産の申立の時点で、
財産目録に上記の資産を計上していれば問題はありません。

 

しかし、財産目録に記載していない資産が判明すると
最悪の場合、詐欺破産罪に問われます。
(破産法265条1項1号)

 

※破産法265条1項1号

(詐欺破産罪)

第265条 破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。
一  債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為

 

財産目録に記載しないことは、
財産の隠匿と判断されてしまいます。

 

隠匿が悪質なケースでは詐欺破産罪に問われます。
10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、もしくは両方を科されます。

 

信書以外の郵便物の処理

先程お伝えした通り、
管財人に転送されるのは原則として信書のみとなっています。

 

しかし、郵便局の実務としては全ての郵便物が転送されています。
これは郵便物の中身を郵便局員が確認できないためです。

 

そこで、転送された郵便物の中でも破産財団に関係ないものは
破産者に転送されてきます。(破産法82条2項)

 

※破産法82条2項

第82条 破産管財人は、破産者にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。

2  破産者は、破産管財人に対し、破産管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で破産財団に関しないものの交付を求めることができる。

 

実際に破産管財人から転送された郵便物

破産管財人から転送された郵便物

※私が自己破産したときに破産管財人から転送された郵便物です。
管財人発信というスタンプが押されています。

 

 

ちなみに、信書に該当しないものとしては、
本、カタログ、金券類、小切手、有価証券、チケットなど
があります。

 

これらの物品は原則としては転送されないとされています。

 

管財人に転送されない方法

破産管財人に転送されるのは「信書としての郵便物」だけです。
郵便物とは郵便局で取り扱うものです。

 

ヤマト運輸や佐川急便といった運送会社で送る物品は郵便ではありません。

 

つまり、破産管財人に見られたくないものは
郵便局ではなく運送会社に配達を依頼すると
管財人に転送されることはありません。

 

Amazonや楽天、ヨドバシ、ヤフーショッピングのような通販で買い物をした場合、
運送会社を選べることがあります。

 

そのときは郵便局(日本郵便)ではなく、
ヤマト運輸や佐川急便といった運送会社を指定すると
破産管財人に中身を見られることはありません。

 

ただし、先程解説した信書に限っては郵便で送る必要があります。
(郵便法4条)

 

※郵便法4条

(事業の独占)

第4条 会社以外の者は、何人も、郵便の業務を業とし、また、会社の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない。ただし、会社が、契約により会社のため郵便の業務の一部を委託することを妨げない。
(2) 会社(契約により会社から郵便の業務の一部の委託を受けた者を含む。)以外の者は、何人も、他人の信書(特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。以下同じ。)の送達を業としてはならない。二以上の人又は法人に雇用され、これらの人又は法人の信書の送達を継続して行う者は、他人の信書の送達を業とする者とみなす。
(3) 運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならない。ただし、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りでない。
(4) 何人も、第二項の規定に違反して信書の送達を業とする者に信書の送達を委託し、又は前項に掲げる者に信書(同項ただし書に掲げるものを除く。)の送達を委託してはならない。

 

また、郵便以外の方法で信書を送ると3年以下の懲役、
または300万円以下の罰金が科せられます。
(郵便法76条)

 

※郵便法76条

(事業の独占を乱す罪)

第76条 第四条の規定に違反した者は、これを三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
(2) 前項の場合において、金銭物品を収得したときは、これを没収する。既に消費し、又は譲渡したときは、その価額を追徴する。

 

郵便物の転送の注意点

重要な書類が郵便で届くことが分かっている場合は
破産管財人に事前に伝えておくことが重要です。

 

急ぎの対応をしなくてはいけないケースもあります。
破産管財人から破産者に対する郵便の転送は
週に1回であったり2週に1回だったりします。

 

このように回送のペースはゆっくりなため、
急ぎの対応には間に合わない可能性があります。

 

事前に管財人に伝えておくと
転送を急いでくれることもあるので、
よく相談することをオススメします。

 

また、破産管財人から郵便物について説明を求められた場合は
適切な説明をする必要があります。(破産法40条)

 

※破産法40条

(破産者等の説明義務)

第40条 次に掲げる者は、破産管財人若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。ただし、第五号に掲げる者については、裁判所の許可がある場合に限る。

 

説明が不充分であると説明義務違反や財産隠匿となります。
場合によっては免責不許可事由と判断されます。
(破産法252条1項1号11号)

 

※破産法252条1項1号11号

(免責許可の決定の要件等)

第二百五十二条  裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一  債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
十一  第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。

 

 

郵便物の転送のまとめ

このように郵便物の転送と開封は破産財団の調査のために行います。

 

破産管財人が破産者の私生活に興味があるわけではありません。

 

郵便物を他人に見られることは気分がよくありませんが、
正当に財産目録と債権者一覧表を提出しているのであれば、
恐れることは何もありません。

 

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