自己破産の申立直前の財産の現金化、自由財産と否認権

自己破産の申立直前の財産の現金化

破産者・Jです。

 

自己破産の申立をするときに財産を出来る限り手元に残す方法をお伝えします。
20万円以上の財産は破産財団に組み入れられてしまいます。
しかし、現金だけは99万円まで自由財産として差し押さえされません。
20万円を超える財産は売却、返戻、引き出しなどの手段で現金化することによって、
差し押さえを未然に防ぐことが出来ます。

 

 

現金化して財産を自由財産にする

例えば下記の事例では、20万円以上の財産があるため管財事件になってしまいます。
差し押さえを防ぐために現金化していきます。

 

財産目録

  • 現金15万円
  • 銀行預金A銀行8万円
  • 銀行預金B銀行5万円
  • 郵便貯金10万円
  • 売却価格25万円の車、だだし初年度登録は2010年1月で7年落ちの中古車
  • 生命保険の解約返戻25万円
  • 生命保険の契約者貸付10万円

 

この事例の財産が合計で63万円です。(合計数値の理由は後述します。

 

自由財産としての現金の上限は99万円ですので、
すべて現金化しても63万円で上限には至りません。
銀行預金・郵便貯金は引き出し、生命保険は返戻と貸付を利用して現金化します。

 

引継ぎ予納金20万円を除いた現金43万円が破産者の自由財産となります。

 

 

自動車の資産価値と減価償却

まず自動車は減価償却可能な資産です。
普通車は法定耐用年数の6年間で減価償却するので、
事例の7年落ちの場合は無価値と判断されます。
無価値なので上記の計算では0円の扱いです。
そのため売却の必要はなく所有できます。

 

営業用車両・貨物車(緑ナンバー)と軽自動車(黄色ナンバー)の減価償却期間は
4年となっています。
そのため4年落ちの中古車であればそのまま所有できます。

 

なお、高級車や外車は別な扱いです。
それらは自動車としての実用性よりも趣味性の高い贅沢品に分類されます。
そのため、自由財産として認められるためには20万円未満であると
証明する必要があります。

 

中古自動車販売店に査定してもらって証明することが一般的です。
20万円以上と査定されると破産財団に組み入れられます。

 

 

銀行預金・郵便貯金と現金

よく誤解されることですが預貯金は現金ではありません。

 

銀行預金と郵便貯金は現金とは別なものとして扱われます。
法律的は預貯金払戻請求権というもので、銀行や郵便局(日本郵便株式会社)に
預けてあるお金の払戻しを請求できる権利です。

 

一見すると通帳に預貯金残高が記帳されてますし、
ATMや窓口で引き出せるので現金のような感覚になります。
しかし、自己破産の実務では現金と預貯金は明確に区別されるので
気をつけることをオススメします。

 

99万円未満の現金は自由財産ですが、20万円以上の預貯金は
破産財団に組み入れられてしまいます。
そのため、20万円を超える預貯金は破産手続開始の決定までに引き出しておきます。

 

この預貯金はあらゆる銀行と郵便局の合計となっています。
さきほどの事例では、

  • 銀行預金A銀行8万円
  • 銀行預金B銀行5万円
  • 郵便貯金10万円

となっているので合計23万円です。
そのため最低でも3万円を引き出しておく必要があります。

 

 

生命保険

積立型の生命保険は解約すると解約返戻金が手に入ります。
また、生命保険には契約者貸付があります。
この契約者貸付は保険会社が与信審査をせずに申し出があれば
貸し付ける義務があります。
そのため法理的には金銭の貸借ではなく解約返戻金の前払いと考えられています。

 

事例では、

  • 生命保険の解約返戻25万円
  • 生命保険の契約者貸付10万円

となっているでの25万円返戻して現金化することが出来ます。
(契約者貸付10万円は解約返戻25万円に内包しています。)

 

なお解約や現金化の事実は破産裁判所に申告する必要があります。

 

 

管理・処分権

破産手続開始前の財産の管理・処分権は債務者にあります。
そのため弁護士に相談して支払い停止にしている段階では、
自由に財産を使用する権利があります。
当然、生命保険を解約する自由もありますし、預金を引き出す権利もあります。

 

破産管財人に管理・処分権が移行するのは破産開始の決定の時点です。
例外として管財人による否認権の行使がありますが、
原則としては申立の直前であっても現金化は許されます。

 

※破産法78条1項

(破産管財人の権限)
第78条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。

 

 

否認権

破産管財人の職権として否認権があります。

 

否認権とは破産開始の決定のになされた破産者の行為を否定して、
財産を破産財団に組み入れることで健全な破産手続きを行う権利のことです。

 

破産開始決定の前に悪質な所得の移転や財産の隠匿があった場合は、
破産管財人が職権で財産を差し押さえして破産財団に組み入れます。

 

しかし、たとえ申立直前の現金化であっても、現金99万円までの自由財産であれば、
否認権を行使されることはありません。

 

※否認権については破産法160条から176条に規定されています。

 

 

まとめ

このように現金は99万円までは自由財産という特徴を上手く利用して、
財産を引き出しや解約返戻、売却などの手段で現金化すると、
財産を最大限手元に残しておくことが出来ます。

 

 

自己破産の目次に戻る

自己破産や任意整理などの債務整理に強い弁護士を全国から無料で探せます。
過払い金や元本圧縮による借金減額無料シミュレーターにもなっています。
完全匿名・住所不要で相談できるので誰にもバレません。
⇒ 街角法律相談所・無料シミュレーター